スパという言葉をよく聞きますが、実際にスパとは何?と聞かれると、明確に答えられる人はあまりいないと思います。と言うのは、世の中にスパという言葉が溢れていて、例えばスパは温泉とかエステのこと?と思われる人もたくさんいるかと思います。そこで、スパとは実際にどういうものなのかということをご説明します。
スパとは何か
では、どうして、スパというといろいろなものがイメージされるのかと言うと、様々なところでスパという言葉が使われているからです。例えば温泉などではスパ施設と言う言葉を使うこともありますし、街中のエステサロンなどでもスパと言う言葉を使います。また、日本や海外のリゾートホテルやリゾート施設でもスパと言う言葉を使います。このようにスパというキーワードがイメージ先行しているのは、様々なところで使われていることが、その要因と言えます。
では実際に、スパというキーワードはどういう意味があるのかと言うと、一つは温泉とか温泉地に対して使います。二つ目は温泉、鉱泉を利用した治療を提供する保養施設と言う意味です。3つ目が、世の中で世界中に急速に拡大している新しいスパの意味である「スパムーブメント」のことをさしており、世間で言うスパというのは、このスパムーブメントのことを言います。
スパの概念の誕生した背景について
この新しいスパの概念はアメリカで1991年に誕生したものですが、アメリカでこの考え方が生まれた背景としては、19世紀に生まれた体の状態を改善するために、薬物に頼るだけではなく、患者の症状(部分)だけでなくその全てを観察し、人には本来、自らを癒す力=自然治癒力があると言う考え方があります。この考え方が、更に進化して、「身体と精神を分離しないで、調和的な平衡が保たれている状態を健康とする考え方」「自然回帰への意識」は広がり、人々の価値観、ライフスタイルまでもが変化していったのがスパムーブメントの根本的な発想です。
以上のようにスパムーブメントは、更に進化して次の3つに収斂されます。
- 健康の捉え方
- ホスピタリティ
- インテグレーション(個々をひとつにして統合する)
ということで、更に健康と言うものは何かということについても、健康というものは、心・体・気=意識(Spirit)がバランスよく調和していることと捉えており、これはもう少しわかり易く説明をしますと、健康は病気の状態ではなく、生きがいを感じ、気が充実した幸福な状態のことを言うとしています。
つまり、スパの目的というのは、医療と同じく人間の身体の状態を健康に保たせることですが、それは治療による病気の状態を治癒させるというよりも、古代医術の発想である病を治すのは人が本来持つ力(自然治癒力)であり、治療とは個々の自然治癒力を高めるための支援行為と考えに基づくものです。この考え方は、スパにおけるホスピタリティやインテグレーションが一人ひとりの個性を尊重して、様々な療法を融合させて、それをその一人一人に最も対応している方法を提供して、現在の健康状態を改善させるためのポイントでもあります。
改めてスパとは何か
したがって、スパは本来癒やしのプログラミングである、マッサージを最も重視をしており、更には癒やしの捉え方である「気づき」と言うものをスパに導入して、それがプログラムに導入され、さらにスパが注目をされるようになっています。
このように現在のスパムーブメントにおける施設の定義については、健康なライフスタイルの獲得を目的とした利用者を支援する、水をはじめとした自然の力を利用にした各種の伝統的な療法、自然療法を総合的に提供する施設にまとまるであろうとされています。このように、スパの考え方は、自然の力を利用して、現在の不調を改善していくものと言うことが出来ます。
スパ(SPA)の3分類
- 「温泉、温泉地」
- 「温泉、鉱泉を利用して治療を提供する保養施設」
- 新たなスタイルのスパ
最後の3番目の新たなスタイルのスパが「スパ・ムーブメント」です。これは、現在、世界各地で市場を拡大しています。ここでは、スパの生まれた、背景の解説と日本のスパについての現状分析をご案内しています。日本の調査結果は経済産業省の資料を参考にしています。
平成20年度
「我が国におけるスパ・サービスの現状と展望に関する調査研究」
報告書
平成21年3月
経済産業省
スパ・ムーブメント
1991年、米国で、スパ・ムーブメントは形成されました。まだ、歴史は浅い。国際スパ協会(ISPA)の設立を機に、今日の新しいスタイルのスパが誕生したのです。
新しいスタイルのスパが生まれた理由
その歴史的な背景
18世紀~19世紀末に、西欧からいろいろな自然医学が、アメリカを目指して渡ってきました。
アロパシー医学=現代西洋医学=米国の医学会が、「投薬と手術」が治療の全てと、考えるのに対し、
新興医学(オステオパシー、カイロプラクティック、ナチュロパシーなど)に共通した点は、
「薬物に頼らない」
「患者の症状(部分)だけでなくその全てを観察する」
「人には本来、自らを癒す力=自然治癒力がある」
ことを重要視したことです。
1960年、1970年代にはカウンターカルチャー運動が様々な分野で広がり、主流文化の流れに対抗する
「非西洋、非キリスト教の文化・価値観」
「自然回帰」
の流れが全米に広がりました。
医療、健康の分野でも「非西洋、非近代西洋医学」等への関心や「健康・自然指向」が高まりました。
その後、老齢化問題、それにともなう医療費の増大、ストレス過多の生活は、現代西洋医学以外への療法へと関心は一層高まり、
「身体と精神を分離しないで、調和的な平衡が保たれている状態を健康とする考え方」
「自然回帰への意識」は広がり、人々の価値観、ライフスタイルまでが変化していったのです。
米国で誕生したスパ・ムーブメントの基盤には、このホリスティックな=全人的な、健康観があると考えられます。
このように「スパ誕生」以前に、人々の価値観そして医療、健康、美容をテーマにする様々な業界ですでに「スパ化」現象が進行していたといえます。
ISPAの功績のひとつは、広く静かに潜行する、この現象をSpaという概念で明確に認知したこと、そして、それにより様々な業界での「スパ化」という再構築の動きを活発化させたことです。
CURE(治療)からHEAL(癒し)へ
スパ・ムーブメントの3つの「目に見えない」エッセンス
- 「健康のとらえ方」
- 「ホスピタリティー」
- 「インテグレーション=(個々をひとつにして統合する)」
「心・体・気=意識(Spirit)がバランスよく調和していること」=SPAの健康のとらえ方です。
つまり、「病気ではない状態」ではなく、
「生きがいを感じ、気が充実した幸福な状態」
を健康ととらえています。
この考え方は、伝統的な古代医学(中国、インド、アラブ、ギリシャ等)に共通する基本的な姿勢です。
病気を治すのは人が本来持つ力=自然治癒力であって、治療とは、個々人間が持つ自然治癒力を高めるための、支援行為と考えられていました。
現代の大型病院では、さまざまな専門科を渡り歩くのが当たり前ですが、古代の医学は、患者と一対一の対面した人間関係を、貫徹したのです。
SPAが伝統的な療法や自然療法のみを用いるのは、この古代医療の「姿勢」を最も重要な根幹としているからです。
「ホスピタリティー」「インテグレーション」も「人=個」を尊重し、様々な療法を融合させて、最もふさわしい方法と情報をゲスト一人ひとりに提供して、支援するためのキーワードです。
西欧のクアハウス、テルメに代表される温泉文化、水治療の伝統的なスパ文化と異なる点です。
今日のスパの多くが、「癒し」の第1段階であるリラクセーション、
つまり「癒される」を目的としたプログラム(主にマッサージを主とするタッチ、ボディワーク)を重要視してきましたが、
現在では、「癒し」の第2段階である「気づき(Awakeness)」、さらに「癒す」ことを目的とするプログラムが注目されるようになってきています。